バスケットボールの安全体制の確立がしたい

そう話すのはBリーグ川崎ブレイブサンダースのフィジカルパフォーマンスマネジャー吉岡淳平さん
過日、くじら接骨院グループの研修会に同氏をお招きし、日本のバスケットボールの最高峰リーグである「Bリーグ」のメディカルサポートについてお話しいただき、その想いを語っていただきました。


バスケットボールはより高度な戦略を駆使したスポーツへ

吉岡さん:近年バスケットボールは「Bリーグ」が発足し、2020年の東京オリンピック開催もあって、非常に速いスピードでグローバル化が進んでいます。その中でも、戦術・戦略はより高度に、競技はよりHigh Intensity(運動の強度が非常に高い)なスポーツになりつつあります。 ボディコンタクト(身体接触)も増え、それに起因した様々な外傷・障害が発生しています。その中でも、重篤な傷害のケースも見られ、対応を怠ると競技だけでなく、後の日常生活に影響を残しかねないケースもあります。また、あまり良い結末ではありませんが、海外では訴訟にまで発展するような事例もスポーツの中では起きているのが現状です。
そういった外傷・障害を未然に防ぐためにも、私達トレーナーサイドでは、外傷・障害を起こさないためのサポート体制作り、例えば試合出場時間や練習強度、日々のコンディションをモニタリングしてケガや体調不良を予防したりしています。
また、万が一のケースに備えて、AEDや救急キットなどを常に配備し、その使用方法や事故が起きた時の対応策をチームに落とし込んだりして、人・モノをシステムにのせることで安全体制を整えています。

くじら:高度化された競技を人材・モノ・システムを上手く活用してサポートされているのが分かりました。高度なテクノロジーを駆使したものから、非常にシンプルなモニタリングシステムまで、我々の知らない世界を知ることができ感銘を受けました。
私達くじらグループでも、スポーツをする患者様のサポートをすることが多いのですが、そのカテゴリーは様々で、ジュニアから中・高・大学生、ママさんやお年寄りの方々、トップの競技者もいます。
普段の診療の中でも、それぞれのスポーツ環境を伺うと、やはりその安全体制は様々で、川崎ブレイブサンダースで吉岡さんが作られた体制には及ばないケースが多く見受けられるように感じます。最低限の救急キットやそれを扱える、対処できる人材の配置があってこそ、人々が安心してスポーツの楽しみを享受できるのではないかと思っています。



セーフティーアクション=安全体制構築のための行動

  • 救急キットの配備

    万が一に備えるため、AEDやスパインボードなど重篤なケガに対応できるプライマリーセットが必要です。
    実際に重篤な事故が起こった時に、いくら対応できる知識や技術があったとしても、そこにモノがなければ安全性は担保できません。
    川崎ブレイブサンダースの吉岡さんのセーフティーアクションに賛同する意を、スパインボードに当グループマスコットの「コホラ君」をスポンサードさせていただいております。

  • 人・知識

    いくらモノがあっても、それを正しい知識を身につけた人が適切に対応しなければいけません
    また、対応にあたる人だけでなく、スポーツに携わるすべての人(選手・コーチ・運営者・会場・ご父兄・観客)が知識を身につけることで安全体制はより高まります
    当グループでも、スポーツ現場で培った経験を活かしております。

  • 安全体制構築の啓蒙

    人々がスポーツをより安全に行うことができるよう、安全体制構築の必要性やケガの予防方法などの啓蒙が大切です。
    今ではコンディショニングという概念(体の調子をより良く維持していくための手段のこと)が広く浸透しつつあり、「より良いコンディション」は「より良い生活」を送るために非常に重要な要素です。 Bリーグの活動を通じてロールモデルを作ることで、啓蒙していきたいと思っています。





吉岡さんのアクションが様々なカテゴリーのロールモデルに

吉岡さん:トップのカテゴリーのみで安全体制が必要というわけでなく、外傷・障害のリスクは若年層やシニア層でも多く抱えています。 また、遠征先の競技会場によってもその安全体制はまちまちで、地域差も存在していることも、スポーツの環境が様々な理由の一つだと思います。 チーム環境という内側に働きかける部分と、遠征先の競技会場など外側に働きかけなければなりません。 私達のチームでもU-12、U-15のアンダーカテゴリー(ユース世代)のチームを持っていますが、この年代から外傷・障害予防に対する取り組み方を徹底的に教育していくことが、カテゴリーがあがっても外傷・障害を未然に防ぐ体制を確立することにつながると考えています。そのために、きちんとした知識と技術を兼ね備えた専門家を配置していくことも私の仕事です。 今回、くじら接骨院グループさんとスポンサーシップ契約を締結したことで、貴グループマスコットの”コホラくん”が私たちの救急キットの一つであるスパインボード(救急搬送に使用するボード)にスポンサードされます。 このような取り組みを見た方々が、安全体制構築の必要性を認識し、それに取り組む広がりもてることこそが、私の”セーフティーアクション=安全体制の構築”です。

くじら:素晴らしい取り組みだと思います。私達も、地域の方々の健康のサポートをする上でも、人の身体が運動から受ける恩恵は非常に大きいものと思っています。 私達も院内ではハンズオンの手技で痛みや不調を取り除いていくのですが、それと同時にエクササイズで痛みや不調の原因なる姿勢不良や悪い動きの癖を修正するような処方をしています。 もちろんスポーツで身体を動かすことは、身体的にだけでなく精神的にも非常に有効な手段です。そのスポーツを年代限らず全ての人たちが”安全”に享受できることが、根本にないといけないと思います。 今回のお話しを聞いて、我々くじら接骨院グループも吉岡さんの”セーフティーアクション”に賛同し、サポートしてまいりたいと思います。 川崎ブレイブサンダースや私たちグループの地域へのスポーツ環境の安全体制確立が、ロールモデルとなって様々なところへ波及していくことを願っています。